地盤探査の最新情報を調査せよ

「地盤改良」という言葉を聞いたことがある人も多いのでは?

従来、地盤の軟弱さに合わせて、建物の重さに耐えられるように工事をしていました。ところが、地震時には軟弱さだけでは予測できない現象があるようで…。

1.わずか数メートルの違いで地震の揺れによる住宅被害は大きく異なる!?

 震度5強の地震でも、揺れやすい地盤のエリアでは震度6強~7に達します

2016年4月に発生した熊本地震。震度7の大地震が2回発生し、甚大な被害をもたらしました。震源地に近い益城町では、わずか数メートル、道1本隔てて、全壊している建物が多いエリアと、健全な建物が多いエリアが隣り合っている、という現象が見られました。

この違いは建物が建っている場所の「地震が起きた時の揺れやすさ」に起因するものです。しかし、この違いは従来の地盤調査では把握できません。今、「揺れやすさ」という観点から地盤調査に注目が集まっています。


2.その土地ごとの地盤の揺れやすさが明らかになる調査があるらしい!?

建物の重さに耐えられるかを調べる従来の方式、揺れやすさを調べる「微動探査」

1995年の阪神大震災後には、その教訓を活かして地盤調査が義務づけられました。「スウェーデン式サウンディング方式(SWS試験)」、「ボーリング調査」が主に採用されています。これは平常時に、建てる住宅の重さに地盤が耐えられるか調べるものです。

熊本地震以降は、地震発生時の地盤の揺れやすさを調べる「微動探査」という新たな地盤調査の方法が知られるようになりました。この調査により、揺れやすさを考慮した住宅づくりができるようになります。


 

3.「微動探査」でどこまで分かる!?地震の際の揺れやすさ

地震の際に、どのくらい揺れるかを総合的に調査することができます

表層地盤増幅率…地震の際に地盤がどのくらい揺れるか

地盤周期…どういった地震で建物の揺れが大きくなるか(共振しやすさ)

地盤構造…どの深さにどのくらいの固さの層があるか

以上の3点が「微動探査」で明らかになります。表層地盤増幅度が2倍になると、震度6強と予測されていた地域は震度7に相当する揺れを経験します。表層地盤増幅度が1・6以上で地盤が弱いことを示すとされています。


「微動探査」は実はお手軽、正確!?従来の地盤調査と併用して安心

約1時間、小型の測定器を地面の上に置いておくだけ

微動探査は「無破壊・無騒音・無振動」。地面に穴をあけることもありません。

従来、スカイツリーなど大型の建築物で行われていた調査法ですが、小型軽量な地震計が開発され、戸建て住宅でも微動探査が可能になりました。

微動探査のデータは計測後すぐに第三者である国立防災科学研究所に送って解析されるので、正しい情報を得られます。

従来の地盤調査「SWS試験」と併用し、その土地に合わせた耐震設計をしましょう。

 

 

取材協力/株式会社ヤマホン

コラム一覧を見る